
ワーニャ伯父さん
原作:アントン・チェーホフ
翻訳:神西清
四大戯曲のなかで二番目に書かれ、シリーズ第一作となった作品。ルーマニア・シビウ国際演劇祭では現地での熱狂的な支持を得た。一台のピアノを配したシンプルな舞台を背景に、チェーホフの言葉が真に迫る。
上演履歴
2007.2 アトリエ劇研(京都)
サンポートホール高松 第1小ホール(香川)
2007.5 シビウ国際演劇祭招待(ルーマニア)
2008.11 金沢市民芸術村ドラマ工房(石川) 福井市文化会館(福井)
ぽんプラザホール(福岡) メディキット県民文化センター(宮崎)
チェーホフの四大戯曲のうちで、『ワーニャ伯父さん』は最も地味な作品です。ワーニャという人物が、今風で言えば中年期のうつ病と診断できるような状態にあるからです。この男の愚痴を永遠に聞き続けなければならないような、おそろしく哀しい気分にさせられます。しかし、演劇というものは残酷で、彼を愛すべき人間として捉えると、すぐに説教くさくなってしまう。ゴミのように、いやゴミ以下にワーニャをいさせること。そこまで人間を蔑むことによって、初めて見えてくるものがあります。本当の「暇」についてです。暇な時間を徹底的に扱うこと。むしろ愛すべきはこの時間そのものにあるのではないか。私はこれを時間の無駄遣いの果ての、人生の希望の劇と考えています。
三浦基 *チラシより再掲
ものがたり
姪のソーニャとともに屋敷を切り盛りし、妹婿に仕送りすることだけを生きがいとしてきたワーニャ。自分の青春がすでに失われたことに気づき愕然とした彼は、人生を取り戻そうともがくが、やがて失敗に終わる。元の生活に戻るふたり。ソーニャは、生きることは耐えることであり、真実の安息は死とともにあると涙ながらに言い放つ。
解説
『ワーニャ伯父さん』は、前作にあたる『かもめ』が書かれたのと同じ1895年、あるいは、翌1896年の作品であると言われている。1889年に書かれた『森の主』の改作で、旧作では『かもめ』のトレープレフと同様、ピストル自殺を遂げるワーニャは、自殺に失敗し、生きていくことを余儀なくされる設定に書き換えられている。人生の苦悩も希望も、行き続けることにあるという、チェーホフの人生観がより鮮明に提示され、このテーマは後の『三人姉妹』『桜の園』へと踏襲されていく。
チェーホフの翻訳では、詩人でもあり、作家でもあった神西清訳が名訳の誉れ高いが、神西がはじめてチェーホフの翻訳を手がけたのが、この『ワーニャ伯父さん』であった。
データ
上演時間: 約80分
ツアー人数: 俳優6名 スタッフ8名 計14名
仕込要日数: 1.5日 (劇場入りした日の翌日の夜公演が可能)
適した劇場仕様: 大ホール(舞台上舞台)から小ホールまで柔軟に対応可能
予算: ご相談ください